スイスのダム その1

今思い出しても興奮する。あの日のこと。

新婚旅行の行先を決めるに当たり、せっかくなので自転車レースを見たいという話はしていた。内心、自転車レースもいいけれどそれだけもね。長い休暇が取れるのだからなかなかいけないところに行っておきたいと思っていた。

世界のダムランキングを見てみる。高さ第一位はタジキスタンのダム。カザフスタンやったら自転車さかんやけど...。第二位はスイス。スイスは氷河と山を利用して水力発電を行っているダム王国だ。コンクリートダムというくくりでいえば、グランドディクサンスダムは1位だ。

ダムの王様に会いに行こう。
↓ダムマニアの神の記事はだいぶと参考にしました。
http://portal.nifty.com/2009/08/13/b/

ツールドスイスの第2、第3ステージのあたりはダム銀座エリアだ。そのあたりに泊まりせめて1日はダムを巡りたい。夫がイヤだというなら別行動だ。

調べてみるとツールドスイスの時期はまだオフシーズン。スイスは鉄道が発達しているといっても、ダムが駅直結ではないし、バスはオンシーズンにしか走っていない。
公共交通機関が使えないとなったら自転車か?いや、アルプスの山をのぼったりくだったりなど、山岳ステージになってしまう。
レンタカーを借りて夫に運転手の交渉をするしかない。ダムへ行きたいからスイスを強く推したことをうちあけ、国際免許を取りにいってもらうことにした。

旅行会社にツールドスイスとダムに行きたい旨伝え、プラン考えてとお願いしたら、シオンという街を拠点にすることを勧められた。新婚旅行と言わなかったら視察と勘違いされ、ホテルはシングル2部屋になってた。

シオン駅前でレンタカーを借り早朝スタート。

Mauvoisinダム、Emossonダム、最後に王様Grand Dixsanceへ。

サイクリストらしくEuropecarでSkodaの車を借りる。

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 まずは二日前に行った第2ステージゴールのVerbier近くを通る。2009年のツールで通ったらしい。

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ダムの道は世界共通で厳しい。

この道であっているらしい。

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 羊に威嚇される。

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道がない。

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などの困難な道を超えダムへ向かう。夫がんばれ。

どんどん山奥へ。Mauvoisinダムはヒルクライムレースが行われるらしい。たぶんハイシーズンには道も整備されているのだろう。レースは20km1000UPちょい。って考えたらなんかいける気がしてきた。

山の天気は変わりやすいのも世界共通。遠くの方にあるダムが見えてきたが霧の中。

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霧がどんどん深くなる。ダムにたどり着いたときは

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なんも見えへん。雨も降っているし。「もう、いいねん...」と首を振りながら車にとじこもって三角すわりをしていた。落胆する私を励ます声は遠く、心に届かない。

とりあえず天端に行こうということで「Barrage→」という方向に歩きトンネルを抜け天端にいく。

黒部ダムのような。

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雨の中しょんぼりしていると

「わーい、ダムや、ダムやー」

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家族連れがやってきた。お父さん、お母さん、結構おっきい子供。お父さん以外、ダムに全く興味がなさそうだが、お父さんかなりはしゃいでいる。おっちゃん、ダム部やな。お母さんは寒いから早く帰りたいという感じで、短パンの夫をみて「あなた、どうかしてるわ」というようなことを言っていた。

ぜんぜん、ダム見えないのに、よくそんなはしゃいでられるね、と沈んだ気持ちでうろうろしていると、

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ん?見渡せる。

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見えたー!このダムはアーチダムでいうと世界第2位。高さ250mって黒部ダム(186m)よりだいぶでっかい

おっちゃんみたいに走り回って写真をとった。きっとすぐまた霧がかかる。ダムから見下ろすとこっちにむかって雲の塊がやってきている。あれがやってくる前にダムや、ダムやー!

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 谷からのダム。ダムはこうでないと!

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橋マニアの方へサービス

あぁよかった、本当に良かった。

さぁ次や、次や。

お次のダムはEmossonダム。地図でいうとすぐ近くだが、水系が違うので山を1個超えることになる。がんばれ夫。

グネグネした山道をのぼり、下り、フランス国境をうっかり超えそうになりながらたどりつく。ここもシーズン中はトロッコ電車とか走ってて、観光地らしいが、ひとっこひとりいない。

ペルトン水車やー

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 そして、ダム!薄くて美しいアーチダム。さっきのMauvoisinよりは小さく、黒部ダムと同じぐらい。ため息の出る美しさ。

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スイスのダムは氷河が解ける水を使って発電用するため、激しい調整がいらないからゲートがないものが多いらしい。だからツルッと美しいのだ。

一応端の方に洪水吐はありました。

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 あ、このダムからはモンブランの眺めがすごいいいらしいです。全然見なかったけど。

山→ダム→山→ダムと車に乗ってきたが、コンビニというシステムがスイスにはないし、店とか全然開いていないので、あらかじめスーパーで買っておいた安売りのパンとチーズとハムでサンドイッチにして食べた。日本とか中国とかどこでも食べ物が買えたり食べられたりするな。食への距離感がアジア人とヨーロッパ人では違うのかも